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朝鮮・中国・米国の動向

更新日 2017,3,20
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このスミレ、早春のまだ寒いときに咲き始めるけど、ほんとは暖かい春が好きでこの頃はにぎやかに咲いている。

「朝鮮・中国・米国の動向」とタイトルは大きく出たものの、いろいろなことが同時並行で起こっていて、しかも互いに関連しているので何をトピックにすればいいか迷った挙句のこと。前回の記事の続きから始めます。


【共謀罪新設の是非を問うシール投票-全国の中間集約】
3月17日現在の集計結果は次のとおりです。
賛成    289 (9%)
反対   2133 (65%)
わからない 879 (27%)
合計 3301
この結果は関東在住の全国投票の会メンバーの手で全国会議員事務所にポスティング済みです。

公明党が賛成して閣議を通り、4月から国会で審議することになります。
これまでのいきさつからして首相や法務大臣の答弁などにかみ合った議論は期待できません。「反対」と「わからない」が圧倒的、という事実をアピールしていきたいです。

全国での街頭シール投票は4月16日まで実施されます。
神戸でもスタッフ10人以上で取り組めないかな~。シール投票アクションに参加してみて、本当に内容が知られていない、問題になっていることさえ知られていない感じがします。


【山城博治さん保釈】
福岡高裁那覇支部は18日、保釈決定を不服とした那覇地検の抗告(不服申し立て)を棄却。沖縄平和運動センター議長の山城さんは保釈保証金を那覇地裁に納付し釈放されました。 山城議長は昨年10月17日に警官の目の前で制止を受けることもなく行ったブロック積み上げなどの行為を理由に逮捕されて以降、保釈要請から約5か月間不当な身柄拘束が続いていました。
山城さんの理由なき長期拘束に抗議して釈放を要請した団体、個人には、沖縄選出6国会議員、アムネスティインタナショナルほかいろいろな人権擁護団体があります。
NGOの国際人権活動日本委員会も代表の前田朗さんを通じて3月10日、ジュネーヴの国連欧州本部で開催されている国連人権理事会34会期において、山城さんの釈放を求めて発言し、国連自由人権規約違反を指摘しました。これ以上の拘留は国際的な批判に耐えられないという判断もあったのかも?
釈放されたときの山城さんの様子を北上田さんが描写しています。山城さんの健康は気がかりですが、不当な長期拘留も、その精神に影響を及ぼすことはできなかった..

北上田さんのブログへのリンク↓

チョイさんの沖縄日記   

ところで大阪でも大きなアクションがあったそうです。3月14日の琉球新報に「辺野古反対 大阪で訴え」との見出しが。
交通労協セメント生コン部会と生コン産業政策協議会が12日、辺野古新基地反対と山城さん即時釈放を訴えて、労組員とその家族700人とミキサー車やトレーラーなどの大型車250台で約4時間にわたるパレードをしたそうです。すごいことだと思うけど、こういうのは報道されないんですね~。

神戸でも
4月23日に、沖縄から安次富(あしとみ)さんをお招きして集会とデモを行います(主催:こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO)。デマや中国脅威論の浸透など様々な形での沖縄新基地反対の声をつぶそうという攻撃がかかっています。私たち神戸市民にできることは?現地行動に参加することももちろん大事です。神戸からも大勢がたびたび沖縄入りしています。そして、ここ神戸で世論を起こすことができればそれが一番ではないでしょうか。沖縄で起こっていることや現在とこれからの取組みについて、安次富さんからオール沖縄の奥の深いお話しをじかに聴いて、人権と尊厳を取り返す沖縄の闘いにつながりたいと願う私たちの糧にできれば、と思います。


ジュゴン
ジュゴンの棲む海
前売りチケット販売中!前売り500円、当日700円

【米の朝鮮政策の今後―最近の新聞報道ピックアップ】

●来日していたティラーソン米国務長官の気になる発言に注目していました。
ここ20年間の米国の対朝鮮政策は効果がなかったとして、「高まる脅威に対処する新たな方策が必要」と強調。その意味するところは対話路線への転換ではなく、先制攻撃、サイバー攻撃、電磁波攻撃なども含めたより強硬な道への転換らしい。
一方、朝鮮は「現在のミサイル発射実験のターゲットが在日米軍基地であることを隠すつもりはない」と発信。朝鮮半島で戦争が起こりそうだと見る意見もあり、そうなったら在日米軍基地が攻撃を受けるのは必至。そして自衛隊の「参戦」という事態に?でも日本の世論は対話で緊張緩和を!と求める方向には向かっているようには思えません。
●むしろこの事態を憂慮し、現実的なコメントをしているのは別の国の指導者です。米朝の動きをみて中国の李首相は15日の全国人民代表大会閉会後の記者会見で、「(米国と朝鮮は)どちらも正面衝突する道を突き進んでいるようだ」「最近の北東アジアには緊張した雰囲気が表れている。緊張は衝突を招き、各当事者が損害を受ける」とし、THAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)を年内に韓国に配備しようとする米国・韓国とミサイル実験を繰り返す朝鮮の両方が対話路線に戻るよう呼びかけました(と朝日新聞は表現していますが、米国は対話路線をとってこなかったので「戻る」は違うかな?)。
●トランプ大統領はこのコメントを一蹴、朝鮮に対する圧力を思うように高めない中国を非難しました。ホワイトハウス報道官も朝鮮を「理性のない、対話不能な輩」として非難しているのが、イラク戦争のときと同じに見えます。相手は何をするかわからないから、先制的に何をしてもいい、というリクツです。
ただ、今日の報道ではトランプ大統領は中国訪問を希望し、習国家主席も訪米を希望、ティラーソン国務長官も「衝突せず、対抗せず、相互に尊重する精神に基づいて対中関係を発展させたい」と言ったとか。
●こういった政治指導者らの発言からは確かなことはわかりませんが、事実として進行しているのは、米韓の大規模(兵員30万人規模)演習が2年連続で実施されるという異例の事態です。日本の私たちとしては、この「演習」がすぐにも実戦に転換できること、参加する戦闘機はグアムのほか、山口県岩国基地と沖縄県嘉手納基地に配備されていることを見逃すことはできません。この演習は3月1日に始まり4月末までの2か月間続くとされています。そして、韓国の大統領選(5月)の状況としては支持率一位、二位の候補はともに対話路線派だそうです。大統領選のあとでもこれまでどおり、米国の強硬路線が韓国に支持されるとは限りません。コトを起こすならそれまでの時期だという不吉な観測もあります。朝鮮半島有事でも米国は少しも打撃を受けないかもしれませんが日本、韓国、中国は大変なことになるのですから、朝鮮の悪口ばかりを調子に乗って言い合っている場合じゃない…
●さらに米軍と自衛隊の一体化が年々進んでいます。稲田防衛大臣は「沖縄県内のすべての基地で日米共同使用を進めるべきだ」としたニコルソン四軍調整官の主張について、3月10日の衆院安全保障委員会で「今後充実させるべきだ」と発言。米軍基地・施設での自衛隊の訓練・研修が量的に拡大していることを認めるとともに基地の共同使用を推進する意向を示しました。たとえばキャンプ・ハンセンでの自衛隊の訓練は、2007年度は1回だったのが、2016年度は85回以上。こういう「一体化」は主導権が米軍にある以上、自衛隊が米軍に組み込まれることだとしか見えません。米国の軍事介入によって人が暮らしていけない国・地域が激増していることを広く知らせ、武力で平和はつくれない、という当たり前のことをもっと大きな声で発信していかなくては。


【これからの平和のアクション】
毎週木曜 市民デモHYOGOの定例街頭宣伝 
15:00~16:30 三宮マルイ前
毎週土曜 辺野古の海に基地をつくらせない神戸行動の定例アクション 
13:00~14:00 三宮マルイ前

3月26日(日)13:30~16:30
「東北アジアの平和をつくる」連続学習会第四回
「21世紀の中国は何を考えているのか」
講師:矢吹 晋さん(アジア・中国経済専門家)
こうべまちづくり会館ホール(JR・阪神元町西口から西へ10分、元町商店街の中、元町通4丁目)
参加費1000円 学生・原発避難者は無料
主催:KOBEピースiネット

4月8日(土)
<神戸港 平和の碑>の集い2017
15:00~15:15 石碑前で小集会
15:20~16:30 勉強会
 テーマ:「神戸港150年の歴史―その光と影―」
 講 師:宮内陽子さん
会 場:KCCビル10階(華僑歴史博物館のあるのがKCCビルです)
 兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-1 (ここまで無料)
17:00~ 雅苑酒家(南京町)で懇親会
 懇親会は参加費4000円、学生2000円。要予約。
主催:神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会

4月219日(水)
ピースキャンドルこうべ 18:45~
JR元町東口 南側

4月23日
「辺野古の新基地ゼッタイ止める!4.23兵庫県集会」
14:00~16:00 
あすてっぷKOBE(神戸男女共同参画センター)2Fセミナー室
沖縄からの訴え「沖縄、辺野古のいま、これから」
安次富 浩さん(ヘリ基地反対協 共同代表、辺野古テント)
主催:こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO
前売り券500円販売中!(当日700円、学生・避難者無料)



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共謀罪と沖縄

ミモザ
これは今満開のミモザの花。花言葉は、優雅 秘密の愛 友情。
国際婦人デー(3月8日)のシンボルツリーです。イタリアでは3月8日に大切な女性にミモザの花束を贈る風習があるとか。


【国際婦人デーと反戦運動】
国際婦人デーは女性解放運動の世界的高まりの中で1975年に国連が制定したもの。
その女性解放運動は、婦人参政権運動+反戦運動として最初から女性たちが中心になって担ってきました。平塚らいてふ(ライチョウ)もそのリーダーのひとりです。1904年3月8日、アメリカで婦人参政権を求めるデモがあったことが3月8日を記念日とする由来だそうですが、その前、南北戦争後の1870年代から「二度と戦争を起こさせない」と決意した婦人参政権運動指導者のジュリア・ウォード・ハウやアン・ジャービスの活動がありました。母の日は、もともとは非戦の訴えをしたアン・ジャービスの娘が母の志を忘れないために提唱したもの。女が本質的に平和主義者かどうかについてはフェミニズムの中でも議論があるそうですが、事実としては、たとえば日本でも1950年代に、権力に暴力的に抑えつけられていた男性たちが、女性が解放されてその意思表明が自由になれば「暴力反対」の世論を高めることができると考えて生活権防衛の闘いに女性の参加を奨励して地域の団結を固めることができた例があります。(さっき読了した「小繋事件」(戒能通孝著、岩波新書、171頁)。人口150人ほどの岩手県小繋村からは、1954年のビキニ水爆実験に抗議してその翌年開かれた第一回世界母親大会に代表が送られています。いろいろつながっているもんですね~。


【共謀罪と沖縄】
昔の名前は評判が悪いというので、名前を変えて4度目に出てきた共謀罪新設法案が通ってしまうと、最初に攻撃されるのは沖縄の市民ではないか?なぜならそこに今の政権にとって最も手ごわいレジスタンスが根付いているから。
3月5日の琉球新報の記事を読んで知ったのですが、共謀罪(話し合い自体を犯罪とする)の適用対象とされる277の犯罪の中に刑事特別法の①軍用物などの損壊②米軍事裁判所での虚偽証言があります。米軍基地周辺での市民の活動が①の準備行為とみなされるかも?
この法案のトリッキーなところの一つは「話し合いだけでは検挙しない。準備行為があったときに共謀自体を罪とする」としているところ。準備行為をしなければ問題にされないみたいに聞こえます。しかし、準備行為というのは、いろいろな目的で行うごく日常的な行為だったりします。たとえば預金の引き出しなど。辺野古新基地建設に反対する行動の場合は、「実力行使の相談をした」(容疑)+「犯行の下見目的で基地前に集まった」で検挙できる?また準備行為をしていないか調べる名目で監視を強めることが正当化されるでしょう。どんな犯罪でも「容疑」で拘束されることを思えば、辺野古新基地建設の強行に反対する市民を、いろいろな犯罪の準備をした、話し合いをしたという「容疑」でひっかけやすくなることは明らかです。すでに山城さんは何の罪を犯したわけでもなく、証拠隠滅の恐れもないのに違法な長期拘留が続いています。共謀罪新設は違法な捜査・拘留の範囲を一挙に拡大することにならないでしょうか。日本弁護士連合会や多くの法学者が強い懸念を表明しています。

KOBEピースiネットの有志もほかの仲間とともに3月7日に三ノ宮マルイ前で「共謀罪新設どう思う?シール投票」を実施しました。


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説明を聞いて初めて考えてみたという人も。

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賛成 11  反対 53  わからない 24

これまでの各地での投票結果は全国投票のホームページでご覧ください。
リンクは↓

共謀罪新設の是非を問う全国投票

近々中間集計を国会議員と閣僚に届け、そのあとも投票アクションを継続するそうです。
実施したい方は rainbowmandara@hotmail.co.jpまでご連絡ください。


【軍学共同の推進に抗う】
日本学術会議がこれまで表明してきた軍学分離の声明に対して、全国95の国公私立大学に共同通信がアンケート調査を実施、3月5日その結果が報道されました。
4割が「堅持すべき」、6割は明確な態度表明なし。方針変更を支持する意見はありませんでした。無回答は2校。学門の分野で軍事協力はしない、防衛省の軍事研究推進プロジェクトには応募しないとすでに決定・表明している大学もあります。従来から軍事研究をしないと宣言していた東大、早稲田、立命、新潟大学と琉球大学。信州大学は審査委員会を新設して拒否、広島大学は副学長が軍事研究拒否を確言、東北大学は軍事・国防につながる研究をしないと回答、その他、内部規定と学内審査・教授会の論議をもって応募せずとした大学もあります(帯畜大、電通大、山梨大、滋賀大、九州大、神戸大、関大)
(長州新聞への池内了さんの寄稿、2016年1月 より。リンクは↓

池内さんの文章
  
関大によると、すでにある大学の研究倫理規準で「人間の尊厳、基本的人権や人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」と定めており、ルールを明確化。方針は、①制度への応募申請に加え、他大学の申請に共同研究者として参加することも認めない②軍事防衛を所管する公的機関からの研究費は受け入れない③企業からの軍事防衛目的の研究費を受け入れない、とのこと(2016年12月朝日報道)。

学術会議の次の総会(4月)には軍学分離を堅持する旨の新声明案が提出され、あらためて軍学分離問題への態度が決まろうとしています。この新声明案では、「軍事研究をしない」ことを定めた1950年と1967年の声明は「継承する」、防衛省の公募制度は「政府による介入が著しく、問題が多い」としています。

【平和をめざすイベント・アクション案内】
3.15(水)ピースキャンドル(平和の街頭歌声アクション)
6:45~@JR元町駅東口南側
3.16(木)市民デモHYOGO 街頭宣伝アクション
    3:00~4:30@三ノ宮マルイ前
3.18(土)「辺野古の海に基地をつくらせない神戸行動」の定例アクション
    1:00~2:00@三ノ宮マルイ前
3.26(日)「東北アジアの平和をつくる」連続学習会第四回「21世紀の中国は何を考えているのか?」1:30~4:30 @元町まちづくり会館ホール


国家安全保障会議、南スーダンからの自衛隊の撤収を決定。
これはめでたいニュース?自衛隊員のためには心から喜びます。でも「PKO五原則は成立していないし、治安は悪化するばかりで日本の自衛隊が今できることはない。死者が出たら政権支持率もっと下がるし」とは言わず、「治安は悪化していない」「五原則は存続している」「道路整備の作業が一段落することが理由」と言うからオカシイ。第一、南スーダンの平和維持と道路整備の関係もわからない。そして、5月に撤収するのになんで緊急会見?(たいていの人が推測するとおりでしょうが...)

共謀罪と平和-何の関係が?

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2月28日に有志でJR垂水駅前にて1時間半「共謀罪新設 どう思う?シール投票」を実施。
賛成 3  わからない 8 反対 24  関心低し。


【話し合っただけで罪になる共謀罪新設なるか?】
共謀罪新設のための法案が公表され、テロ対策と説明してきたのにテロという文言も定義もないと報道されています。批判を受けて、対象とする犯罪の数も、670ほどある刑期4年以上の犯罪のうち270ほどに絞りこんだものの、その根拠など不明。前に同類の法案を国会に出したときには、どうしても670の罪について共謀罪を設定しないと国際条約を批准できないと言っていたのは間違った判断だったのか、と聞かれて法務大臣はしどろもどろ。昔のことは知らないそうです。

●参考になる記事へのリンク
東京新聞ほっとWeb2月28日記事

日本弁護士連合会の反対声明

日弁連の声明は、政府の統一見解「犯罪目的の集団でなくてもその性質が一変したときは対象となる」が公表される前に作成されています。性質が一変したかどうかのみきわめのためには常時監視が正当化されるので、この見解により同法案の危険性はさらに高まります。この点を考えて、2月26日の弁護士会主催の共謀罪反対デモでは「メールを読むな」「パソコンのぞくな」などより具体的な警鐘となるコールも行われました。

次の法学館研究所のサイトの文章は犯罪の数が絞り込まれる前に発表された文章ですが、本質の説明としてわかりやすかったです。

法学館研究所

【戦争反対の声を圧殺】
で、なぜこのKOBEピースiネットのブログで取り上げるのか?
それは同じ性質の法律、治安維持法が戦争反対の声を圧殺するための強力なツールとして使われたという史実があるから。

先日垂水駅前で共謀罪新設の是非を問うシール投票をしていると、戦争を記憶している世代の人が「隣組が復活しそうや」と言って「反対」にシールを貼っていかれました。
隣組なるものを体験した人は少ないでしょうね。私も戦後生まれなので知りませんがドラマなどで再現されることがあり、知識としてはわかります。
「どうも日本は負けそうだ」「アメリカ相手に馬鹿な戦争を始めたものだ」「戦争はもういやだ」などしゃべっていると、それを聞きつけた隣組(配給物資の受給や空襲時避難を行う地域の末端組織)の構成員の誰かが警察に通報。非国民として引っ張って行かれる、そういうことが実際にあったのです。隣組は、戦争を遂行する国が国民を統制する必要からもうけた戦時中の地域統制組織でした。

相互監視の暗い日々を記憶する人々は今度の共謀罪新設の話でそれを思い出して、通報により共謀罪を犯したとされ拘束されるようになるのでは、と危惧するのです。だって、何かを計画し話し合っても警察に通報した者は減刑・無罪放免されるというのですから密告奨励の法です。


【元祖共謀罪法―治安維持法の「成果」】
さて、実際に共謀(話し合うこと)を罪とする治安維持法があったころ、どんな風に運用されていたのでしょうか。名目は「国体(天皇制)の維持」と「私有財産制を否定する危険思想の取締まり」のため。まず共産主義者(共産党関係者)は徹底的に迫害され共産党は非合法化され党員はことごとく検挙され、共産党は壊滅状態に。その後は政府にとってやっかいなあらゆる傾向の人々に対して適用されました。共産党が取り締まりを受けたのはその思想が財力ある人々から危険視されたからでもあるでしょうが、より直接的には戦前から「侵略戦争反対」「植民地主義反対」と訴えた唯一の政党だったからでしょう。
1926年から1945年の間に治安維持法違反で検挙されたのは7万人、起訴されたのはその1割、拷問で殺されたものは194人、獄中で病死したものは1503人。文学者の小林多喜二もそのひとりです。


【横浜事件】
私は横浜に住んでいた10年ほど前に、「横浜事件」って何かしら?と思い、DVD「横浜事件を生きる」(ビデオプレス製作)を購入しました。共謀罪と関係があったような気がする、と思って先日もう一度視聴しました。これは治安維持法を適用した冤罪事件として知られているものですが、もう知らない人のほうが多くなっているかもしれません。概要を書いてみます。

事件は1942年に起こりました。戦争中で検閲制度のある時代でした。検閲を通った論文「世界史の動向と日本」が「改造」という雑誌に掲載されたことを記念して、著者の細川嘉六とその友人7名が旅館に集い宴会をしたところ、その集まりを「共産党再建大会の準備のための集まり(違法な団体の結成準備の相談)」として全員逮捕。拷問を加え、うち4人が獄死。この8人の知人や出版社の関係者約60人も逮捕され、うち30人が拷問による「自白」のみを根拠に有罪とされた事件です。まったくの冤罪でした。神奈川県警が他県に負けず手柄を立てるよう圧力を受けていた結果ともみられています。戦後釈放されましたが、拷問を生き延びたメンバーと遺族が冤罪の判定を勝ち取ったのは何度も再審請求をして闘い抜いた後の2010年のことです。拷問に責任があったと認定された3名は講和条約の発効に伴う恩赦で放免。この細川さんは政府批判を正面からしたことはないものの、アジアの中で日本は欧米のような植民地主義ではなく対等互恵の関係を近隣諸国との間に築くべきだと説いていた人です。今でいうとリベラリストですね。そんな主張すら問題視された時代があった。


【そして今】
その時代を美しかったと思う首相が先頭にたって成立させたがっているのが共謀罪新設の法案です。

名目は何でもいい。警察の裁量の余地が大きくなるほど、政権にとって都合の悪い分子を人々から隔離し犯罪者扱いできます。裁量の余地の大きい法律の特徴は言葉の定義がきちんとされない、「テロ等準備」の「等」などのように幅のある表現をする、「場合によっては取り締まりの対象になる」、など、運用の自由度を確保するところにあります。今問題になっている法案がまさにそうです。名目どおりテロ防止のためだと思って賛成したら大変なことになります。PKO五原則が壊れている南スーダンに自衛隊を派遣する政府、戦争法を平和安全法という政府、防衛費を増大させ続ける政府、沖縄県の民意を無視し続ける政府は多くの批判に値すると思われますが、共謀罪新設でやたらと人を罪人扱いすることができれば、政府を批判する運動を委縮させることに効果があるかもしれません。

国際条約はたくさんあり、テロ防止関係のものは13もあります。日本にはそれに対応する国内法がすでに整備されており、重罪となるものについては凶器準備集合罪やハイジャック防止法などにより、準備段階で逮捕できるようにすでになっています。
しかも今回政府が「批准するのに共謀罪新設がどうしても必要」としている条約はテロ防止条約ではなく、国境を越えた組織犯罪に対処するための条約で、その分野でも日本ではすでに58もの法規が整っています。日本が法の整備がなくテロが発生しやすい国だということはできないのに、こんなにも執拗に「話し合っただけで犯罪になる」ようにしたいというのは、説明されている理由では納得いきません。

911後のアメリカでは思想や表現の自由を少し制限されてもテロリストから国を守るためにはしかたないという考えが一定の支持を受け、監視体制が進みました。マックで何を食べたか、どんな本を購入したかまで把握されている。店頭のレジのシステムが大規模なデータベースにつながっているといいます。テロはこわいぞ、と言って恐怖をてこに人々を支配する、これもテロリズムでは?


【共謀罪新設の是非を問うシール投票】
あす7日の午後(1時~2時半)三宮マルイ前で「話し合っただけで罪になる 共謀罪どう思う?」シール投票が行われます(主催:共謀罪新設の是非を問うシール投票こうべ)。どなたでも参加できるし、きっと歓迎されます。市民の関心を少しでも高める努力をしましょう。たまに若い人とも対話ができ、楽しいですよ。
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【連続講座後半のご案内】
いろいろなイベントに取り組みやすい春ですね。どうか3月26日は「東北アジアの平和をつくる」連続講座の万障お繰り合わせの上おいでください。第四回「21世紀の中国は何を考えているのか」を、中国問題の専門家 矢吹晋さんを横浜からお招きして開催します。
どんな相手でも、その考え方や論理をよく理解した上で友好的な関係をつくりあげるための知恵を練らないと平和なアジアは実現できません。好き嫌いの感情はおいといて、中国の実像に迫りましょう。

場所は こうべまちづくり会館 1時半~16時半
問合せ:080-6799-5775 高橋

連続講座中国編はこのあと5月、7月と続きます。

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